サッカー・サポート・センターのツイックラーです。
今回は前進するためのパス&コントロールのトレーニングです。
小学生になり体が大きくなったり身体能力が高くなってくるとドリブル一辺倒ではなかなか通用しなくなってきます。そうするとパスの必要性が高くなりパス練習の頻度が高くなります。ただ対面パスをたくさんしてもパスをすることはできる様になりますが前進することができずただただパスをしているだけになってないでしょうか。
ドリブルが通用しくなってきた。どうしよう…。
パスをしてるけど、前に進めずボールを奪われちゃうなぁ。
指導歴8年、年間100人の幼児や小学生を指導するツイックラーが今回、前進するためのパス&コントロールの練習を紹介します。前進しないパスは最終的には追い込まれて失点を招いてしまいます。サッカーの目的はゴールですので前進する必要があります。前進するためには視野の確保が必要です。観ることができないと認知ができず判断もできません。そして人間の構造上360度観ることはできず視野には限界があるので体の向きを変えながら視野を確保していかないといけません。今回のトレーニングは視野を確保する体の向きをとりながら前進や逆サイドへの展開をするパス&コントロールからのシュートになります。応用では2vs1を行いディフェンスからのプレッシャーを受けながら体の向きをとって前進できるようにしていきます。良い体の向きをとって良い判断をして前進できるようにしていきましょう。
評価 | コメント | |
トレーニングレベル | ★★★☆☆ | 小学生以上(パスが止められることが条件) |
人数 | ★★★☆☆ | 4人~7人 |
待ち時間 | ★★☆☆☆ | 少ない |
応用 | ★★★☆☆ | 変化をつけたり、パスの質を変えるなど |
進め方
オーガナイズ
【パターン1】
- 緑コーンに1人(B)と赤コーンに1人(C)にボールを持たずに立つ
- 赤マーカー(A)にボールを持って並ぶ
- AがBの足もとにパスをしてBに移動する(①)
- BがCの足もとにパスをしてCに移動する(②)
- Cはパスを受けてトラップしてゴールにシュートをする
- Cはボールを持ってAに並ぶ
- 3~6を繰り返す
【パターン2】
- 緑コーンに1人(B)と赤コーンに1人(C)にボールを持たずに立つ
- 赤マーカー(A)にボールを持って並ぶ
- AがBの足もとにパスをしてBに移動する(①)
- BがCにスルーパスを出しCに移動する(②)
- Cはパスを受けてトラップしてゴールにシュートをする
- Cはボールを持ってAに並ぶ
- 3~6を繰り返す
必要な道具
- ボール×(人数ー2)個 例)5人の場合は3個
- マーカー×1個
- コーン×2個
- ゴール×1個
マーカーやコーン、ゴールは代わりになるものでも可能です。マーカーやコーンの使い方は下記の記事を参照して下さい。
【補足】
走る、止まる、ドリブル・蹴るのサッカーに必要な技術を最大限は発揮するトレーニングシューズ着用を推奨します。トレーニングシューズ着用の利点は下記の記事を参照にしてください。
キーファクター
- 体の向き
- パスの質(体の向きがゴール方向に取れるパス)
- トラップの質(体の向きがとれるトラップ)
- シュートの質
応用
オーガナイズ
【2vs1】
- 赤マーカー(B)、黄色マーカー(C)、青マーカー(D)にそれぞれ並ぶ
- BとC対Dの2vs1をする
- BとCはゴールを決めたら勝ち
- Dは2つのコーンの間のどちらかをドリブル通過したら勝ち
- グリッドの外に出たら引き分け
- 指導者はAに立ちボール出しをする
- Bの先頭とCの先頭はマーカーの前に立つ
- Dの先頭はグリッド内のにある青マーカーに立つ
- 指導者がBにパスをしたら2vs1を始める
- 終わったらBはC、CはD、DはBに移動する
- ボールは指導者に戻す
- 7~11を繰り返す
必要な道具
- ボール×2個以上
- マーカー×4個
- コーン×4個
- ゴール×1個
獲得できるスキルとメリット
- 逆サイドに展開するためのトラップの技術が身につく
- シュートの為のトラップが身につく
- トラップからシュートやパスの技術(正確性とスピード)が向上する
- 逆サイドの展開するためのパスの技術が身につく
- シュートがしやすいパスの技術が身につく
- 【パターン2】スルーパスを受ける為の動き出しのタイミングが身につく
- 【パターン2】ダイレクトシュートの質が向上する(右足あるいは左足)
- 【応用】プレッシャーを受けながら正確なトラップができるようになる
- 【応用】Dの位置によってCの受け方やパスの質を変えることができる(認知⇒判断)
- 【応用】数的不利でのディフェンスのボールホルダーへのアプローチの仕方が身につく
- 簡単なオーガナイズでテンポよくパス&コントロールからシュートまでのトレーニングができる
パスを繋いでいくためにはゴール方向への視野の確保が欠かせません。今回のトレーニングはこの体の向きによる視野の確保が重点テーマになり、獲得してほしいスキルです。視野の確保というのはゴール方向とディフェンス、ボールホルダーを同一視野に入れることを指します。Bは逆サイドに展開できる体の向きと視野の確保、Cはゴールに向かう為の体の向きと視野の確保とポジションやボールホルダーの位置によって異なることを認識し身につけていきます。次のプレーをスムーズに行う為にはパスの質も大切になります。今回のトレーニングにおいてはパスをつける足。右足につけるか左足につけるか、この少しの差が次のプレーに大きな影響を与えるので、次のプレーをスムーズにさせる為のつける足を意識したパスを身につけることができます。また受ける側も体の向きを保ちつつトラップでき、無理なく次のプレーに移行できるになります。Cでは足元、スルーパスの2つのパターンがあり足元のパスはワンタッチでシュートを撃てる場所におく、スルーパスでは飛び出しのタイミングを計りながらパスに反応しダイレクトあるいは動きながらのトラップの技術を身につけます。
応用では実際にディフェンスをつけ相手の寄せのスピードや向きによって逆サイドにパスをするのか、パスをするふりしてドリブルするのかなど駆け引きや判断をしながらゴールを奪う技術を覚えていきます。ディフェンス側も数的不利の状況でのボールホルダーへのアプローチの仕方を覚えていきます。
注意点やデメリット
- ボールを止められないと動きが止まり時間が掛かってしまう
- 自分の前の状況を考えず人がいなくなっていても進めてしまう
- コーンやマーカーにぴったりくっついてパスがもらいづらくトラップもできない
- 次の動きが遅くかったり、動きがわからず動かない人がいると滞るのか
- プレッシャーがあると体の向きが取れない
- プレッシャーがあるとパスがきた方向にトラップしてしまい逆サイドに展開できない
- スルーパスがでてから走り出してしまいボールに追いつけない
まずボールをトラップできないと、この練習はテンポよくまわっていきません。しっかりインサイドの面を作ってトラップできるようにしておきましょう。またどんなボールにも反応できる様にプレジャンプしておきましょう。特に起きる事象としては目印であるマーカーやコーンにぴったりくっついてポジションをとったり、ボールを置いてパスをしたりすることです。今の子は真面目なのか決められた場所があるとそこでしかプレーしません。少しトラップミスをすると一回マーカーの場所に戻ってパスをします。どんなにコーンが近くに合ってコーンが邪魔になってもコーンの近くでプレーをします。そのためやりにくいなら移動してもいいあるいはコーンから離れたらやりやすいと言ってあげないといけません。また、ただ指示されたことを惰性で行っているとまだ次のポジションについてないのにパスをしてしまいます。観てパスを出していいか判断をする様に注意していきましょう。また動きを理解できずに動かなくなったり、ポジションに人がいなくなることもあるのでその際はフリーズしてもう一度説明しましょう。スルーパスを受ける為にはコーディネーション能力が必要になります。パスへの反応とボールとの距離の把握と追いつくためのスピード。パスが出てから反応することもあるので、どのタイミングで走り出すかプレジャンプをしながらスタートの準備など注意していきましょう。応用での2vs1ではディフェンスがつくのでプレッシャーを受けながらプレーすることになります。プレッシャーを受けると体の向きが取れずにボールがきた方向にトラップしてしまうことが多くなります。その際はDのスタート位置を調整してプレッシャーの強度を低くしましょう。
指導ポイント
- 体の向きのとり方(Bは逆サイドに展開するため、Cはゴール方向へすすむため)
- 立ち位置
- パスの質(スピード、右足、左足のどちらの足につけるか)
- トラップの質(次のプレーがすぐに移れる、右足、左足どちらでトラップするか)
- ボールを受ける前の準備(プレジャンプ)
- シュート前にゴールを観る(トラップ後、飛び出し後)
- シュートの質(インステップ、軸足の踏み込み)
【体の向きのとり方と立ち位置】
体の向きを上手く取れると視野が確保できゴール方向の味方と相手を観ることができます。ゴール方向の視野が確保できると選択肢がゴール方向になる為、点を取る為のプレーを優先的に選択できます。ただどうしてもボールが気になってしまい体の向きがボールホルダーに向いてしまうと、ボールホルダー方向の視野になってしまいゴール方向に選択ができなくなってしまいます。今回のトレーニングは体の向きをとりながらトラップができる様になることがメインとなります。サッカーはゴールを奪うことが目的と伝え、ゴールを奪う為にしなくてはいけないことを明確にしましょう。また体の向きをとることと同時に立ち位置も大事になります。BやCの前に置いてあるコーンをディフェンスに見立てて逆サイドに展開するための立ち位置やシュートをする為の立ち位置、スルーパスを受ける為の立ち位置も修正していきましょう。
視野の確保が全てのスタート。良い体の向きと立ち位置で相手のディフェンスよりも優位に立ちましょう。
【パスの質】
逆サイドから攻めるとチャンスだから逆サイドに展開するのであってボール移動中に相手のディフェンス陣が逆サイドに移動してきては全く意味がなく下手すると相手の方が数的優位の状態になることもあります。逆サイドに展開するためには相手の移動スピードよりも速いボールを出さないと意味がないのでパススピードは速く出すことを強調しましょう。またパスを出す足も大事です。今回のオーガナイズを例にとるとAからBに出すパスが左足に出すとBは体の向きをゴール方向に向いたままトラップができ、右足に出すと体の向きがAの方向に向いてしまいます。前者はBがツータッチのテンポでパスが出せ、後者は止める⇒体の向きを変える⇒パスを出すの3テンポ以上かかります。テンポも速ければ逆サイドの展開も速くなりまたシュートも速いテンポで撃てることができます。どちらの足にパスを出すかによって受け手が次の行動に大きく影響するので細かいことですがこだわっていきましょう。
パスをすることが全部良いわけではありません。ディフェンスと駆け引きしてパスが良いかどこにトラップした方が良いか判断しましょう。
【トラップの質と受ける前の準備】
前述にでたどちらの足にくるかによってトラップの仕方も変わってきます。左足に来れば体の向きをとったまま受けることが可能で次にどちらの足でパスあるいはシュートするかによって置き場所を変えるだけでよいです。パスがずれて右足の方に来た場合はサイドステップで移動しながら体の向きをつくり左足で受ける様にする必要があります。さらに次の蹴り足に合わせて止めないといけないので難易度が上がります。さらに左足で受けられないと判断した場合は右足で受けないといけないので、相手がパスを出した瞬間にこれだけの判断をしないといけません。その為、受ける前の準備がかなり重要にるのでプレジャンプをしてどんなボールでも素早く反応する準備をしておくようにしましょう。サイドステップやバランスなどコーディネーション能力も必要になりますが、まずはどんなボールでもトラップできるようにし、次ぐのステップで移動しながら体の向きを作れるようにしていきましょう。
ディフェンスをつけたときはディフェンスの寄せ方によってどちらにコントロールするかを判断しましょう。やみくもに逆サイドの展開しないように。
プレジャンプについては下記の記事を参照して下さい。
【シュート前にゴールを観る】
シュートはしっかりインステップやインサイドをボールに当てることも大事ですが、より大事なのはゴール(GK)を観ることです。シュートはいくら正確に撃てもGKの届く範囲や読まれていては決めることができません。シュートはGKとの駆け引きや判断力が試される為、シュートする前にゴールの位置やGKを観ないといけません。体の向きが良いと自然とゴールやGKを視野に入れることができるのでその点でも体の向きの利点を共有しましょう。トラップしてシュートの場合はトラップして直ぐ、スルーパスからダイレクトでシュートする場合はボールを追いかけている間に観るようにすると良いです。またディフェンスの寄せ方や角度によって右足、左足どちらでシュートを撃つかを判断できると良いでしょう。撃つ瞬間はボールをしっかり見てインステップやインサイドをミートさせることに集中しましょう。
駆け引きが上手になるとゴールギリギリを狙わなくてもシュートを決められるようになります。タイミングをずらしたりフェイントしたりディフェンスやGKとの駆け引きを楽しみましょう。
まとめ
- 視野の確保が全てのスタート
- 良い体の向きがゴール方向の視野を確保できる
- 視野を確保して前進するための判断(パス、ドリブルなど)することが大事
- パスの質によって体の向きがとりやすいく、次の行動に移しやすい
- パス&コントロールの練習後は2vs1で成果を確認する
- 目的はゴール(シュート)なのでゴールの為の判断をする
サッカーの目的はゴール。パスは手段なのでゴールをする為にパスやドリブル、シュートの判断をする様にしましょう。enjoy football!!
★選手への声の掛け方や接し方、指導方法について学びたい方は下記の記事を参考にしてください。
★スキル習得する練習メニューの作り方は下記の記事を参考にしてください。
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