サッカーおすすめ本 その1『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』

おすすめ本

ツイックラーのトレーニング方法にはいくつかの参考にしている本があります。その中の1つである『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』。この本には一切トレーニング方法やメニューはありません。育成の哲学であったりアプローチや声掛けの仕方について学べる本になります。サッカーの指導はトレーニングメニューをマネするだけでは良い成果は得られません。どの様に子供に声を掛けアプローチするか、子供の能力を引き出してあげるかがとても重要です。そのアプローチ方法や能力を引き出す為に必要なスキルが学べるとても良い本なので紹介します。

おすすめポイント
  • ビジャレアルの育成方法を学べる
  • サッカーへの理解を深めることができる
  • 効果的な声掛けや子供へのアプローチを学べる
  • ビジネスの上での部下への育成の仕方も学べる

本の紹介

【著者プロフィール】

  • 佐伯 夕利子(1973年 イラン・テヘラン生まれ)
  • 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)常勤理事、
    一般社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)非常勤理事、
    スペインサッカー協会公認ナショナルライセンス監督、
    UEFA Proライセンス監督
  • 2008年よりビジャレアルCFと契約し以降10年以上フットボール部門に所属しスペイン代表を育てる重要なポストを担う。2018年よりビジャレアルでの仕事を休職しJリーグ常勤理事として社会連携部門およびフットボール本部の担当理事を務める。

選んだきっかけ

発行当初からサッカー関係者内では話題となっていました。特にX(旧ツイッター)ではサッカー指導者、引退された選手はもちろんのこと、ビジネス関連の方々からも称賛されていました。

ツイックラー
ツイックラー

僕もXを観て興味がわいたよ

特にビジャレアルというところにとても惹かれました。スペインの育成といえばバルセロナだと思いますがバルセロナについては既にトレーニング本からサッカークリニックやスクールまであり少し商業的な思惑を感じてしまいます。ビジャレアルについてはヨーロッパでは有名なチームでヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグにもでる強豪です。しかし資金もビッククラブに比べれば少なく大物選手を獲得するようなチームではなく育成型のチームに分類されます。そんなビジャレアルの謎めいた育成方針や育成術はとても魅力的でとても興味津々で読んでみたくなりました。ただ岐阜の田舎に住んでいることもありなかなか小さな本屋には置いてなく大型の本屋を探し回ってやっと見つけたことは懐かしい思い出です。

注目ポイント

たくさんの注目ポイントのある本書ですが、もっとも僕が感心したポイントを以下にあげました。感心したポイントとしては、

  1. 指導哲学
  2. 指導方法
  3. 育成改善するためにそこまでやるのか

以上の3点です。ビジャレアルの指導哲学がどのように生まれたのか、育成するためにどのように選手にアプローチするのかを徹底的に考え議論したのか、それを達成するためにありとあらゆることをしたのか、目からうろこのこともあるし、そこまでやる!?ということまでとても多く知ることができます。

指導者は選手の学びの機会を創出するファシリテーター(潤滑油)にすぎない

このことをビジャレアルの指導哲学のベースにしている。指導者が選手の学びの機会を創出するファシリテーターならばその学びを享受する選手が主体にならなければならない

3歳児にさえ判断を伴う練習をさせる

足元の技術を磨くといったことには一切重きをおいていません。「考える癖をつける」ことを最優先にしている

教え込むと脳は休止する

選手は教え込みのコーチングばかり受けているので考える回路は既に休止している。どんなに「自分で考えろ」と声を張り上げても効果はない

コーチにカメラとピンマイクをつける

今一度自分たちの指導を振り返る為に総勢120名のコーチたちにカメラとピンマイクをつけ1人1人のコーチングをつぶさに撮影した。指導された選手たちがどんな反応をするかを撮影するためにコーチの胸にアクションカメラをつけさせた。記録された映像を見てべたランのコーチや新人のコーチが台頭にお互いに指摘をした。

古い習慣を壊す

「学び⇒学び壊し⇒学び直し」この繰り返しが指導者には不可欠。いくつもの「学び」を言語化し、指導者間で意見を交わし、ディベートを繰り返す。それをクラブ内で共有していくことでコーチングレベルは間違いなくアップする

実際にトレーニングに取り入れたこと

本書には素晴らしい指導方法がたくさんありました。自分の心の持ちようで変えるだけで取り入れられる指導方法もたくさんあり、本書を読んですぐに取り入れたものをいくつか紹介します。なかなか徹底することが難しいですが、自分の指導がうまくいかないことがあると読み返してインプットし直します。

ツイックラー
ツイックラー

いくつか取り入れただけで数日後に子供たちの発言が増えたり、良い判断が増えたり変化が出てきましたよ。

「いいね」をつかわない

ビジャレアルでは「いいね」という言葉は一見ポジティブな言葉だが、選手たちにはに何一つ価値のない言葉でしかなく誰でもいえる言葉としています。誰でもいえる言葉しか伝えられない指導者は価値がありません。選手のアイデアであったり判断だったりプレーの質など良い点を簡潔に伝え少しでもモチベーションを上げられるような声掛けをするようにしました。

オープンクエスチョンを使う

オープンクエスチョンとは「Yes」か「No」でこたえられるようなクローズドクエスチョンではなく、「どうして?」や「どのように?」などの複数の答えが出るような質問のことです。ビジャレアルでは回答者側に主導権を持たせるためにこのオープンクエスチョンを使うようにしています。たしかにある程度指導者側が答えを用意して質問をしているのと回答者側が答えやすい様にクローズドクエスチョンを多用する傾向にあります。やはり選手側に判断をさせる為には考えをもたせなくてはいけないので少し時間がかかってでもオープンクエスチョンを多用する様にしました。

否定ばかりから肯定を増やす

ビジャレアルでメンタルコーチがマンマークでコーチの声掛けや態度をチェックし3つに仕分けしました。①ポジティブなメッセージの回数、②ネガティブなメッセージの回数、③同じ選手に難かい声を掛けたか。これを自分に置き換えたとき②のネガティブなメッセージが多いと率直に感じました。この本を読んだ日から「~しちゃだめ」、「~しなさい」などのネガティブなメッセージを減らし「~うまくできたね」、「よく観ていたね」などのポジティブなメッセージを増やしました。

ネガティブフィードバックの基準を決める

ネガティブフィードバックとは叱る怒ったり注意することです。どうしてもうまくできなかったり、トレーニングの理解ができなかったり、同じ失敗を繰り返いしているのを見ると強く注意したり、イライラして怒ってしまたりしてしまいした。ビジャレアルではこれらのネガティブに反応してしまう要素を大きく3つに分けると①アティチュード(姿勢、態度、取り組み方)②アプティチュード(適正、才能、スキル)③ビーイング(存在、ありよう)としています。そして①に対しては感情をぶつけて叱ってもよいとういう結論に至ったそうです。このような明確な基準があると無暗に怒鳴り散らすこともなくなり、また立ち返ることができます。

サンドイッチ話法を使う

ビジャレアルではネガティブな改善を伝える為にサンドイッチ話法を使っています。サンドイッチ話法は本題の前後をポジティブなフレーズで挟む方法です。「相手の良いところを伝える」⇒「ネガティブな改善点」⇒「それに対する期待」の様な論法です。このような方法で選手に伝えるとネガティブなイメージでコミュニケーションを捉えらえない様に済みます。この方法はこの本で知り取り入れてみました。

まとめ

  • いろいろなサッカー関係者やビジネス関連の方に評判が高い
  • ビジャレアルの育成に対する情熱がすごい
  • 選手たちが主体となるような育成方法
  • すぐに取り入れられることがたくさんある
ツイックラー
ツイックラー

ぜひ読んで自分のトレーニングに生かしてみてください。サッカーだけでなくビジネスの上での部下の育成にもとても役立ちます。enjoy football!!

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