サッカー指導のおすすめ本 その4 『認知⇒判断⇒実行の回路を繋げるジュニアサッカートレーニング』

おすすめ本
ツイックラー
ツイックラー

サッカー・サポート・センターのツイックラーです。今回はサッカー指導者におすすめ本の紹介第4弾です。

2000年代になってどのサッカーの指導本にも、もちろんJFAの教本にも『認知⇒判断⇒実行』という考え方が基本となり浸透していきました。今ではこの『認知⇒判断⇒実行』という言葉を知らない指導者はほとんどいないでしょう。

しかし「判断」や「実行」の部分の指導や指摘は比較的手厚く行っていますが、「認知」の部分については「周りを見て」、「顔を上げろー。」ぐらいの声掛け程度しか行っていないことが多いです。

今回紹介する池上 正さんの『認知⇒判断⇒実行の回路を繋げるジュニアサッカートレーニング』という本は疎かになりがちな「認知」に焦点を当てた内容になっています。

認知能力が育っていないとエコロジカル・アプローチなどの科学的なトレーニングをしても効果が小さくなってしまうという指摘から日本と海外との認知のとらえ方の差、認知能力を育てる1vs2をベースにしたトレーニング方法を紹介してくれています。

エコロジカル・アプローチやヴィセラルトレーニングなどの様々な科学的なトレーニング方法を取り込んでどこか満足してしまっている自分がいました。ないがしろになっていた最も根底にある大事な「認知」についてもう1度考えさせる1冊となっています。

★エコロジカル・アプローチについては下記の記事を参照にしてください。

おすすめポイント
  • ジュニア世代のトレーニングの基本を学びたい
  • 『認知⇒判断⇒実行』について学びたい
  • もう1度、サッカーの指導について学びなおしたい

本の紹介

【編者・著者】

  • 池上 正 
  • 「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
  • 1956年大阪生まれ。
  • 大阪体育大学卒業
  • 大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。
  • 2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。
  • 2003年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190ヶ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで子どもたちを指導
  • 2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。
  • 2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、その後、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーアドバイザーや普及部部長を歴任
  • 現在は「NPO法人I.K.O市原アカデミー」で全国の子どもたちや指導者に池上メソッドを伝える傍ら、大学講師も務める。

選んだきっかけ

ジュニアの指導について調べると必ずたどり着く『池上 正』さん。多々ネットに上がっている記事を拝見し、とても感銘を受けていました。

今ではサッカーの指導の基本要素といえる『認知⇒判断⇒実行』。言葉にすると簡単ですが、とても奥が深く、特に「認知」については指導者によってとらえ方がまちまちで指導の内容も変わってきます。

長年多くの子供たちにサッカーの指導を行っている池上さんが『認知⇒判断⇒実行』についてどのように考えているか、自分の考え方とかけ離れているのか、近いのかを確認してみたいと思いこの本に手をのばしみました。

ツイックラー
ツイックラー

池上 正さんはのべ50万人の子どもたちを指導したジュニア世代の指導の第一人者。ジュニア世代を指導している指導者は参考できることがたくさんあります。

注目ポイント

サッカーコーチとボール

池上さんが指摘しているのは認知が育っていないと的確なプレーの判断ができないということです。エコロジカル・アプローチもヴィセラルトレーニングも頭を回すためのトレーニング。

しかし認知能力が育っていないと問題点がどこで、どうやったら解決できるかなど理解しようとしないので、その効果はほとんど得ることができません。まずは認知する習慣が必要であり、無意識レベルで認知できるようになることで最善の判断が素早くでき良いプレーが生まれていきます。

本書では認知における世界と日本の差を指摘し、どういうトレーニングが認知能力を伸ばすかを示してくれています。最後にはトレーニングにおける指導者の心構えを伝えてくれています。その中でツイックラーが関心や感銘をうけた点をいくつか挙げていきます。

頭が回るとは

『頭が回る』とは子供たちが「判断」をする前に「無意識レベル」で「認知」できるようになることを指します。

指導者が意識すべきはこどもの頭が回る仕組みづくり

「ここからは同じ子が2点連続でとることができないよ?どうすればいい?」そんな声掛けをすると、子どもたちはたちまち考えます。やがて自然と繋がることを意識し始めます。

頭が回るとはどういうことか

相手がいる。味方がいる。その状況を認知し、判断し、実行するというサイクルが生まれます。つまり、それは子どもの頭が回っているという意味です。

サッカーは1vs1ではなく2vs1がベース

海外の指導者たちに直接、こんな質問をしてみました。

「サッカーは1対1がベースですか?それとも2人の関係がベースですか?」

結果は、8割以上の指導者たちが「2人の関係がベースだ」と答えます。それが海外では当たり前にある感覚なのです。

実践の中で止める・蹴るを覚えた方が効果的

試合の中で「ここに動いたらパスがもらえるよ」「ここにパスがきたら攻撃ができるよね?」そんな声掛けを繰り返しながら子どもたちに動いてもらう中で、一緒に足元の技術を身につけてもらった方がいいのではないでしょうか。

実際にトレーニングに取り入れたこと

サッカーの練習を説明するコーチと選手たち

全国の子供たちに指導をしている池上さんの指導方法は、難しいことはほとんどありません。すこしやり方を変えたり、工夫を加える出だけで実践できることばかりです。ただ「なるほど」だったり「そういう細かいところまで気にするのかぁ」など気づかされることが多いです。

ツイックラーもいくつかは意識していましたが、細部までこだわっていなかったり疎かにしていたことに気づいた点がいくつもありました。その中でもより大事な点を紹介していきます。

コーンはディフェンダー

欧州の練習風景には“コーン”は“ディフェンダー”だという認識ができているそうです。このツイックラーの練習でもコーンをディフェンダーと認識するように口酸っぱく言い聞かせています。

どうしてもコーンを置いてしまうと立ち位置の様にコーンのそばに立ってボールを受けたり、パスをしよとしたりしてしまいます。サッカーには決まった立ち位置ありません。パスを受けるにも、パスを出すにも相手の場所によって変化をしないといけません。

選手にコーンをディフェンダーとイメージさせると自ら考え、立ち位置を変えて受けたり、パスを出す場所を変えたりしだすのでとても重要な考え方だと思います。

ツイックラー
ツイックラー

コーンはディフェンダーといっても中々変化が起きない場合は指導者がコーンのところに立って邪魔をするとよりイメージしやすくなります。

トレーニングの設計で周りとつながるように導く

「2回連続で点をとれない」というルールを設定することで1人で点を取れてしまう選手に対して周りの選手と繋がることを促していましたが、とても参考になる設定だと思いました。

1人で点が取れる選手にパスをするように指示を出してもいうことを聞かなかったり、ただプレーが消極的になってしまいます。しかし誰かに点を取ってもらえればまた点が取れるので積極的に周りに点を取らせようとするでしょう。

ツイックラーは「シュートはダイレクトシュートのみ得点になる」という設定をよく使います。ダイレクトシュートという縛りがあるので、必ずシュートの前にパスをしないといけない状況を作ります。

ただ難易度が結構高いので、低学年やまだ経験の浅い選手には使いにくい設定なので、「2点連続取ることができない」などのレベルに合わせた設定を取り入れていきたいです。

ツイックラー
ツイックラー

設定はエコロジカル・アプローチの観点からも大事な要素です。習得させた技術や戦術に合わせて設定できると良いですね。

★エコロジカル・アプローチについては下記の記事を参照ください。

メニューは子供のレベルに合わせて変化させる

池上さんは初見のチームの指導に招かれることが多く、参加している選手に合わせて練習を変えて調整しているそうです。ツイックラーも用意してきた練習メニューが選手にはまらなかったり、難易度設定が良くなかったりするとすぐに調整して変えるようにしています。

以前はできるまで時間をかけて理解させようとしていましたが、効果がいまいちな上に選手たちが難しい顔で取り組んでしまい楽しくなさそうになってしまいます。指導者の思いを押し付けないようにこれからも注意しながら指導するように心がけています。

ツイックラー
ツイックラー

選手たちが理解できなかったり、思ったように動けないとだんだんと指導者もイライラしてしまいます。お互いにいいことないので、思い切って変化をしていきましょう。

最後はゴール方向をつけて実戦に近づけていく

池上さんも実践しているように2vs1や3vs1などの練習で上手く繋がるようになってきたら「タッチ制限」やグリッドの大きさを変えたりと段階的に難易度を上げていきます。最後にはゴール方向をつけてより実践に近づけていきます。

この考え方は常に意識してツイックラーも取り組んでいます。まずは簡単なオーガナイズの練習から始まり段々と難易度を上げて最後は必ずゴールをつけた練習をするようにしています。

パスやドリブルなどどんな練習をしてもゴールをつけるとその技術の習得具合や新たな課題がはっきりわかります。技術は試合で発揮できて初めて習得できたといえるので、ゴールをつけた練習は必ずするようにしましょう。

ツイックラー
ツイックラー

ゴールをつけた練習もできるだけ練習した技術が出しやすい設定にするとなお良いですね。

まとめ

  • ジュニア世代の指導の重鎮ともいえる池上 正さんが認知について伝えた1冊
  • 認知をないがしろにすると判断もできない
  • 指導者は無意識レベルで認知できるようなトレーニングを設計する
  • トレーニングはドリブルやパスの判断ができる2vs1がベースとなる
  • 選手のレベルに合わせて難易度を調整していけるようにする
ツイックラー
ツイックラー

認知の重要性や指導の基本が詰まった1冊になっているので、ぜひ手に取ってみ見てほしいです。enjoy football!!

★選手が育つかかわり方や声のかけ方を参考にするには下記の本がおすすめです。

★運動能力だけでなく認知応力も向上するボール運動を紹介しているおすすめ本です。

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