
サッカー・サポート・センターのツィックラーです。今回は定番のジグザグドリブル練習にかわるドリブルのドリル練習を紹介します。
ドリブルドリルの定番、コーンを等間隔に1列に並べたジグザグドリブル。ツィックラーが幼少のころからある練習です。アウトサイドやインサイドでコーンを交わしながら進むドリブルドリルは何度も同じ動作を繰り返すので幼児にも低学年にも覚えやすく、導入がしやすいです。しかしジグザグドリブルはコーディネーショントレーニングの要素が強く、サッカーというシチュエーションとしては程遠く、なかなかサッカーには落としにくいオーガナイズになっています。

なんとなくコーンを使ったジグザグドリブルをしているけど効果あるかな?

ジグザグドリブルの代わりになるドリル練習ないかなぁ?
指導歴9年、年間100人の幼児や小学生に指導するツイックラーが少しだけサッカーのシチュエーションに近いドリブルのドリル練習を紹介します。コーンを斜めに配置したドリブル練習。実際のサッカーにおいてポジショニングをするときは三角形を作るように斜めに配置するので、コーンの配置も斜めに配置した方がよりサッカーに近づいていきます。またジグザグドリブルよりもディフェンスをかわすタイミングをつかみやすく、1人目2人目とかわすイメージが付きやすいです。
実はこのドリブルのドリル練習は清水エスパルスやFC岐阜で監督を務めた旧ユーゴスラビア出身のゼムノビッチのセミナーでの実技指導で学んだ練習方法です。さすがストイコビッチやサビチェビッチを輩出した東欧のブラジルど称される旧ユーゴスラビアで行われていたドリブルドリルと感心して観ていました。ぜひウォーミングアップやドリブル中心の練習をする際はこのオーガナイズで取り組んでいただきかわすタイミングやボールの運び方を習得しコーディネーションの向上にもつなげていってほしいです。
- ドリブル技術が向上する
- ジグザグドリブルにかわるドリル練習
- 簡単なオーガナイズでできる練習
評価 | コメント | |
トレーニングレベル (★が多いほど高い) | ★★☆☆☆ | 小学生2年生以上。ドリブルスピードの調整ができれば問題ない。 |
人数 (★が多いほど多い) | ★★★☆☆ | 1~6人。オーガナイズを複数つくれば大人数で可能。 |
待ち時間 (★が多いほど少ない) | ★★★☆☆ | 人数が多いと待ち時間がながくなる。 |
バリエーション (★が多いほど高い) | ★★★★☆ | パターンや制約の組み合わせが多数。 |

進め方

オーガナイズ
【パターン1】

【パターン2】

【パターン3】

- 黄色マーカーにボールを持って並ぶ
- 先頭から順番に指示された通り(パターン1~3)のドリブルを始める
- 最後のコーンまで行ったら黄色マーカーに並ぶ
- 2~3を繰り返す
- 右足or左足
- インサイドorアウトサイド
- コーンごとにワンフェイント入れる(パターン2)
フェイント例)ボディフェイント、シザース、ルーレット、プルプッシュなど - 右手or左手を上げながらドリブル
- 時間制限をつくる(10秒以内など)
必要な道具

- ボール各1個
- マーカー×1個
- コーン×4個以上


【補足】

★夏場に必要な道具
★冬場に必要な道具
キーファクター
- ドリブルスピード
- ドリブルコントロール
- ボールの置き場所
- ボールを触りすぎない
- かわすタイミング

応用
ステップ、ターン、フェイントと上記のドリブルのドリル練習で得た技術を1vs1のスモールサイドゲームで試合で使える技術に落とし込みます。

- 黄色マーカーと赤マーカーに分かれて並ぶ
- 指導者からボールが出たら1vs1スタート
- 終了したら赤マーカーから始めたら次は黄色マーカーに並ぶ
- 黄色マーカーから始めたら次は赤マーカーに並ぶ
- 2~4を繰り返す
【ルール】
- 4つのコーンの間のうち2つドリブル通過したら勝ち
- ドリブル通過はどちらから通過してもOK
- 同じコーンを2回通過はだめ
- 勝敗がついたらあるいはグリッドからボールが出たら終了
獲得できるスキルとメリット
- ドリブル技術が向上する
- ドリブルスピードが速くなる
- ドリブル時のボールの置き場所がよくなる
- 不要なタッチ数が減る
- 色々な場所でのボールタッチが上手くできる様になる
インサイド、アウトサイド、インステップ - かわすタイミングがよくなる
- コーディネーション能力(体の使い方)が向上する
- オーガナイズが簡単で複数作れる(大人数でできる)
試合でディフェンスが一列に等間隔に並ぶことはなく、斜めに配置していることの方が多いです。そのためよくある同列にコーンを置いたジグザグドリブルに比べ、かわし方だったり、かわすタイミングだったり少しだけ実践に近くなっています。
どのタイミングでかわすとよいか、かわした先を意識してどこにボールをどのぐらいの強さで触るかなどの技術が身に付きます。ボールを運びながらかわすタイミングを計るためにはボールの置き場所が重要であり、ボールの置き場所を意識することで置き場所がよくなっていきます。そしてタッチが多くなったり、大きくなってしまうとかわすタイミングを失うため不要なタッチ数も減ってきます。かわすタイミングが取れるようになってくると段々とドリブルスピードが上がっていき、速いドリブル中でもしっかりかわせるようになってきます。
インサイド、アウトサイド、インステップと色々場所でタッチしたり、ターン、ステップ、フェイントなどの動きはコーディネーション能力にも刺激を与えるので、コーディネーション能力の向上にもつながります。コーンとボールがあれば簡単にできるオーガナイズとなっているのでちょっとのスペースがあればドリブルトレーニングやコーディネーショントレーニングを行えることができます。
注意点やデメリット
- スピードのコントロールができない
- 歩きながらドリブルしてしまう
- ボールを触る強さを調整できない
- ボールだけを観てしまう
- 通るルートのイメージができない
ドリブルトレーニングをするととにかく速くしようとしてしまいコントロールできず結局遅くなってしまったり、ごまかしてなにもせずただたんにまっすぐ進んでいるだけになってしまうことがあります。逆にスピードを上げられず歩きながら右左でちょこちょこつきながら進んでしまうことがあります。前者も後者もスピードのコントロールができておらず、ボールの触る強さの調整ややボールに合わせたステップや走り方ができない人がほとんどです。技術的なこともありますがだいたいがコーディネーション能力の低さが原因です。まずはまっすぐでいいのでゆっくり進むドリブルをできるようにしましょう。
ボールだけを見ながらドリブルしてしまい1個目のコーンはうまく通れても2本目に行くルートを大きく外れて2本目、3本目にいくことができないことがあります。なんとなくドリブルして進んでいるだけなのでまずルートをイメージさせ、顔を少し上げて次に進むコーンを見ながら進むようにしていきましょう。
★運ぶドリブルのトレーニングは下記の記事を参照ください。
指導ポイント

- ドリブルスピードのコントロール
- ドリブルするときのボールの置き場所
- 不要なボールタッチをしない
- コーディネーション能力(ステップ、ターン、フェイント)
【ドリブルスピード】
かわしたり、向きを変えたり、切り返したりするドリブルはスピードのコントロールが非常に大事です。もちろん速いに越したことはないのですが、コントロールできないスピードでは意味がないので、自分がどのくらいのスピードでドリブルすればコントロールできるかをまずは把握するようにしましょう。そして段々とスピードを上げていけるようにしていきましょう。パターン1~3、右足、左足などいろいろな制約のなかでスピードを調整しながら取り組んでいきましょう。

タイムを計ってあげるとモチベーションアップにもつながるかも!?
【ドリブル時のボールの置き場所】
ドリブル時のボールの置き場所は股下より一歩前のところです。ただし運ぶドリブルに限られるので突破するときやトップスピードで相手を置き去りにするときはボールを長くけっていくこともあるので必ずそうしなけばいけないことではありません。ボールを運びながらターンをしたり、向きを変えたりする際は股下より一歩前を意識しましょう。
またボールのタッチの仕方も大事です。まっすぐ運ぶときはインステップでタッチし、向きを変えるときはインサイドやアウトサイドでタッチします。インサイドやアウトサイドでボールをタッチするときは足先(足の指)でタッチするのではなくくるぶし辺りの大きい面でタッチしましょう。

ボールを運ぶ時の置き場所は習慣化できるようにしましょう。
【不要なボールタッチはしない】
運ぶドリブルの際は不要なボールタッチはしないように注意しましょう。基本的にボールが転がっているスピードと自分が動いているスピードが同じときはボールはタッチしなくてよいです。股下にボールがあるようにボールと一緒に動いているだけで十分です。ボールをタッチするときはボールのスピードが落ちてきたり、もっとスピード上げたい、方向転換やよけるときぐらいで大丈夫です。常にボールをタッチしてしまうとかわしたり、方向転換するタイミングがなくなってしまったり、スピードをコントロールできずどんどんスピードが上がってしまいます。ボールを触る回数は最低限にしましょう。

ボールがそばにあるとどうしても触ってしまいますがそこはガマン!!
【コーディネーション能力】
ドリブルにはいろいろな要素が含まれています。ステップやストップ、加速、内旋、外旋などの体の使い方やバランス能力、変換能力などコーディネーション能力に刺激を与えることができます。ドリブルの失敗はコーディネーションに問題があることがほとんどです。ボールのとらえ方だったり、ステップうまくいかなかったりした場合は見本を使ったり、デモンストレーションしてあげたりして改善できるようにしてあげましょう。
★コーディネーション能力については下記を参考にしてください。


ドリブル技術とコーディネーション能力が向上して一石二鳥ですね。
まとめ
- ドリブル上達のドリル
- コーディネーション能力も向上する
- かわすタイミングをつかむドリブルトレーニング
- 不要なタッチをせず股下より一歩前にボールを置きながらドリブルをする
- コーンとボールがあればできる簡単なオーガナイズ
- ドリブルスピードのコントロールができないと難しい

同じ内容を長く続けるのではなく、パターンや制約を色々変えながら取り組んでいきましょう。enjoy football!!
★選手への声の掛け方や接し方、指導方法について学びたい方は下記の記事を参考にしてください。

★スキル習得する練習メニューの作り方は下記の記事を参考にしてください。

★室内でのボール運動やレクリエーション用のボールを使ったゲームについて下記の記事を参考にしてください。

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